代表的な症状
- 呑酸、げっぷ
- 胸やけ(みぞおち上あたりが焼けるような感じ)
- 胃酸の逆流ん
- 胃もたれ
- 食べ物が飲み込みにくい、つかえ
- のどの違和感
- 咳が絶えず出る
※呑酸とは、口の中まで酸っぱいもの・苦いものが上がる症状のことを指します。
逆流が起こる原因
食道裂孔のゆるみ
胸部と腹部を隔てている横隔膜には、血管や食道などが通る穴があり、このうちの食道を通る穴を食道裂孔といいます。食道裂孔が緩むと胃酸が食道に逆流しやすくなります食道裂孔のゆるみの原因はさまざまで、加齢や生活習慣、生まれつきなどがあげられます。
下部食道括約筋(LES)の弛緩
胃と食道の間にある噴門(胃の入り口)には、下部食道括約筋という筋肉があり、胃の内容物が逆流をすることを防いでいます。40代以降は徐々に下部食道括約筋の力が弱まっていき、胃酸が食道に逆流しやすくなります。
腹圧の上昇
肥満体系の人、衣服やコルセット、ベルトでおなかを締め付けることが多い人、力仕事や畑仕事などで長時間前かがみの姿勢をとる人、背骨が曲がり前屈体勢の人は腹圧の上昇により、胃酸の逆流が起こりやすくなります。
内服薬の副作用
喘息、心臓病、血圧などの疾患の治療薬の中には、食道括約筋を緩める副作用を持つものがあります。また、ピロリ菌除菌治療が成功した後に、胃粘膜の機能が正常に戻ることで胃酸が増え、症状が出ることがあります。
検査
胸やけや呑酸などの症状だけでは、がんなどの深刻な病気かどうか判断ができません。確実な診断と状態を把握するためには、胃カメラ検査で直接粘膜の状態を確認することが大切です。胃カメラ検査では、炎症の範囲や状態を正確に確認することができ、観察だけでなく、疑わしい組織を採取して病理検査を行うことが可能です。バリウム検査と違い、被爆の心配がありません。当院では高度な内視鏡システムを導入しており、経験豊富な内視鏡専門医が丁寧に検査を行います。少しでも苦痛を感じることが少ないよう、嘔吐反射のない経鼻内視鏡検査、不安や痛みを和らげる鎮静剤を使用した経口内視鏡検査も可能ですので、苦手意識のある方もぜひ当院へご相談ください。
治療
逆流性食道炎には、胃酸分泌抑制剤や粘膜保護薬、蠕動運動の機能を整える薬物治療を行い、症状を改善させます。再発防止のため、生活習慣の改善もは不可欠です。
薬物治療
主に胃酸分泌抑制剤を使って症状の改善を図ります。症状によっては、消化管の改善をする蠕動運動の機能を整える薬や粘膜保護薬などを使うことがあります。症状が改善した後も炎症が完全に治るまで長期にわたって薬を飲み続けることもあります。
治療に使われる薬剤
P-CAB(カリウムイオン競合型アシッドブロッカー)
カリウムイオンを競合的に阻害することで胃酸分泌を抑制する新しい作用機序をもつ薬剤で、難治性の食道炎にも極めて有効です。
PPI(プロトンポンプ阻止剤)
胃酸を作るプロトポンプに直接働き、胃酸の分泌を抑える薬で再発防止にも使用されます。
H2ブロッカー
抗ヒスタミン薬の一種で、胃酸の分泌を抑える働きがあります。
消化管運動機能改善剤
食道の運動を改善する薬剤で、胸やけ、嘔吐、食欲不振、膨満感などの消化管の症状を改善します。逆流してきた胃酸を押し戻す働きを高め、炎症の悪化を防ぎます。
粘膜保護薬
粘膜を保護し、炎症悪化を防ぐ薬です。
生活習慣の改善
逆流性食道炎には食事を含めた生活習慣の見直しが大切です。食後しばらくは座った状態を保つことや腹部の圧迫を避けることで、胃酸の逆流が起きないようにします。食習慣では胃酸の分泌を盛んにしないようコーヒー、アルコール、甘いもの、酸っぱいものを摂りすぎないことが大切です。生活習慣の改善は無理をせず、長期的に続けていくことが重要です。